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「年次改革要望書」は、日米双方の政府が、毎年、それぞれの国の企業が相手の国でビジネスをする場合の障壁になっている問題点を指摘し合い、相互に「市場開放」を進めようというために交換される文書である。(「
米国政府の「年次改革要望書」を読む」(by Life is beautiful))
今朝のサンデープロジェクトで、「年次改革要望書」という言葉を知った。で、気になって調べてみた次第。
これまでの日米関係の通商に関する歴史を振り返ってみると、
「
経済産業省の沿革」より
1973年 日米繊維協定本調印
1983年 対米乗用車輸出自主規制開始
1986年 日米半導体協定締結
1989年 日米構造問題協議
などがある。
「日米構造問題協議最終報告」(by東京大学東洋文化研究所田中明彦研究室)
どうも、日米構造問題協議は,貿易収支の不均衡の削減に資することを自的として,両国で貿易と国際収支の調整の上で障壁となっている構造問題を識別し,解決するため,1989年7月にブッシュ大統領と宇野前総理により打ち出されたものである.1989年9月より1990年6月の間に5回の作業グループの全体会合を開催した.進捗状況に関する中間報告は,1990年4月5日に発表された.
日・米両政府は既に初期の措置を講じており,国際収支不均衡の調整を阻害する構造問題の解決のためのモメンタムの維持を確保する更なる措置に関する計画を作成した.両国政府は,最終報告が構造問題に対処するための大幅な前進であると信じる.
同作業グループは,貿易と国際収支の調整の障壁となっている両国の構造問題を解決するとのコミットメントを引き続き有することを強く再確認する.
一年間にわたる構造問題協議の作業を共同でフォローアップするために,構造問題協議の作業グループは,その会合を本件協議の特色である柔軟で,開放的で,時とともに変化するやり方で,両国の多省庁間協議方式の下で継続し,1年目に3回,その後は年2回,恐らくは,春,秋及び双方が合意する他の時期に,日本側は次官級レベル,米側は次官乃至次官補レベルで会合し,次のことを行うことに合意した.
−最終報告に特定された課題に関する進捗振りをレビューする.
−構造問題協議において既に識別された問題分野に関連する事項及びこれらの事項に対処するための行動の必要性につき議論する.
−毎年春に,それぞれの国において構造問題の解決へ向けてなされた国際収支不均衡の削減に貢献する前進についてそれぞれが書面による報告書を作成し,両報告書を共にレビューし,また,両報告書とともに共同プレス発表を発出する.
にある報告書が、どうも「年次改革要望書」のようだ(
*)。「
拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる」(関岡 英之 (著)という本のように、日本はアメリカの都合の良い国に変えられている、という意見もあろうかと思われるが、戦後の日本はずっとそれでやって成功したわけだから、それで、良い方向に向かえばよいと思います。それとも、「フルブライト留学制度(
*1)」にみられたような、おおらかなアメリカはもう居なくなってしまったのかな?ま、これからよく勉強していこうと思います。
■註
*1「
太平洋を渡った留学生」(by ODA of 外務省)
日本が物資不足、食糧不足に悩み苦しんでいた戦後まもない頃に、将来の日本を考え、人材育成のために、若人に大きな夢と希望を与えてくれた制度がある。
フルブライト留学制度である。
終戦直後の1946年、フルブライト米上院議員の提唱で始まったこの制度によって、世界百数十カ国からこれまでに20万人以上の学生や研究者がアメリカへ渡った。
日本でも1952年にスタート、これまでに約6,500人の人々がこの制度によりアメリカ留学をはたしたのである。この人達はフルブライタ−と呼ばれ、戦後の日本の財界、政界、官界および教育界で活躍し、日本の発展に大いに寄与したのである。
また、高校生レベルでは、アメリカン・フィールド・サービス(AFS)留学制度により、多くの高校生がアメリカに渡り、現地の高校でアメリカ人学生と一緒に学び、ホームステイをして多くの友人を作り、将来の日本を担う社会人へと育っていったのである。
「物」だけでなく、「心」についても気配りをしてくれたアメリカの多くの市民に対する感謝の気持ちは忘れてはならないであろう(
書籍)
・「
援助の歴史」(by アリスプロジェクトof住和不動産)
・「
21世紀の展望と生命科学への期待」(by
藤原肇.宇宙巡礼)
■関連ページ&サイト
・「
日米構造協議の存在」(by Takashi Nagao)
・「
日米構造協議と年次改革要望書」(by長尾たかしの・・・未来へのメッセージ)
・「
米国政府要望書」(by米国大使館)
・「
米国政府の「年次改革要望書」を読む」(by Life is beautiful)
■資料
・「
日米関係資料集1971−2005」(by東京大学東洋文化研究所田中明彦研究室)
・「
経済産業省の沿革」(by経済産業省)
■文献
・「年次改革要望書」で、アマゾン検索。
・「
「質の経済」が始まった 美の日本、カネの米中」(日下 公人 (著))